桜の季節も終盤に差し掛かり、道の駅うごの入り口には山盛りの山菜がズラリ。今夜の夕飯は何にしましょう?
「どんな山菜も天ぷらにすると美味しいですよ」
そう語るのは、道の駅うごの農産物直売所にさまざまなお惣菜を出品している佐藤久美子さん。過去には、西馬音内そばを求めて行列ができる道の駅うご「端縫いダイニング」にて天ぷら調理を担っていたことも。
でも天ぷらって家で作るのは少しハードルが高そう…と感じていました。「それなら技を伝授してもらおう!」ということで、久美子さんに取材協力を依頼。山菜の下ごしらえから揚げる工程まで、その手順とコツの一部始終を教えていただきました!
そのまま揚げるから味わえる、山菜本来のうまみ
久美子さんの加工所を訪れたのは、4月下旬のある日。いつも朝早く起きて、道の駅に出品するお惣菜を作っている久美子さん。山菜の「盛り合わせ天ぷら」の出品は1日あたり10皿程度で、早い時間帯に売り切れてしまうこともあるのだとか。この日は特別に、山菜天ぷらの調理の様子を見せていただきました。
道の駅に出品している山菜の「盛り合わせ天ぷら」
今回調理した山菜は、たけのこ(すずのこ)・コシアブラ・タラの芽・こごみ の4品。まずは天ぷらのネタ作りから。天ぷら粉に卵と水を加えてよく混ぜます。久美子さんの場合は水を多めに入れてサラッと仕上げるそう。
続いては、よく洗って水気を拭き取った山菜に天ぷら粉をまぶします。このときに重宝するのがビニール袋。袋に山菜を入れて数回振るだけの時短術です。
天ぷら粉が山菜に満遍なく行き渡ったら、先ほど作ったネタに入れて和えます。てんぷら粉をまぶした山菜を入れるため、ネタは使っているうちに固くなってくることも。その場合は水を加えて、ネタの固さを調整します。
下ごしらえが終われば、いよいよ山菜を揚げる工程です。油の上にネタを一滴落として、沈んでからすぐ上がってくるくらいまで油が温まればOK。味のクセが少ないものから順に揚げていきます。今回は「たけのこ(すずのこ)→コシアブラ→タラの芽→こごみ」の順番で揚げていきました。
山菜の種類によって、揚げ方にもコツがあるそう。細長いすずのこは、2本ずつ合わせて揚げていきます。開いた葉が特徴のコシアブラは、葉っぱが手のひらのように開いた状態で揚げることで綺麗に仕上がります。
衣に少し焦げ目がついてきたら、油からあげてバットに並べます。こんがりとした揚げたての天ぷらが食欲をそそります。
天ぷらを揚げる際のポイントは、揚げるごとに油の中に残った天かすを除くこと。天かすをすくっておくことで、次に揚げる山菜の仕上がりがより良くなるそう。
そして完成した山菜の天ぷらがこちら!所要時間は準備と片付けを含めて1時間足らず。あっという間の早技で4品の天ぷらが完成しました。揚げたての天ぷらを塩でいただけば、サクサクの衣と柔らかい山菜は頬が落ちそうな美味しさ。
下ごしらえは数十秒、美味しくできるコツ
山菜といえば、あくぬきや下茹でなど、調理前に準備が必要なことも。一方で山菜の天ぷらは基本的にそのまま揚げればOK。少ない手間で美味しく山菜をいただけるのも天ぷらの魅力といえます。
すじのこ:皮を剥いて水にさらします。
こごみ:よく洗って汚れをとります。
タラの芽:根元部分が太いため、火の通りを均一にするために十字の切り込みを入れます。
コシアブラ:大きいものは半分に切ることで、葉の広がった綺麗な形で揚げることができます。
久美子さんの原動力は、「美味しかった」というお客さんの声。前日から食材を仕込み、朝できたてのお惣菜を届けています。山菜の天ぷらを作る加工所を訪れると、「もっと美味しくするためには」と弛まぬ向上心で料理を作り続ける久美子さんの姿がありました。
《編集後記》
山菜ってなんだか調理が難しい気がしていましたが、天ぷらだとこんなに簡単にできるのか…と目から鱗でした。山菜を揚げる際に使用した油はお肉などを揚げる際の油に比べて汚れが少なく、複数回使うこともできるそう。山菜の旬のこの時期に、ぜひお家でトライしてみてはいかがでしょうか?
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UGONEWS編集部(地域おこし協力隊|岸峰祐)