【10月4日|イベントレポート】
風流踊交流フェスタ・伝統芸能が集い、踊りで繋がる

全国各地の伝統芸能が羽後町に一堂に会する、そんな特別なイベント「風流踊交流フェスタ〜踊りでつなぐ未来の輪〜」が2025年10月4日(土)に行われました。羽後町の『町制施行70周年記念事業』として盛大に行われたイベントの当日の様子と、その裏側をお届けします!

(*イベント概要を、告知記事でチェック↓)

【西馬音内で日本三大盆踊り・風流踊りが共演】 10/4(土)風流踊り交流フェスタ

毎年、各地の民俗芸能を招き開かれている「にしもないde踊らナイト」。今年は『町政施行70周年記念事業』として大幅にパワーアップ!2022年にユネスコ無形文化遺産登録された風流踊りをはじめ、日本三大盆踊り、羽後町三大民俗芸能が集結。見て踊って楽しめる、豪華7団体による一日限りのイベントとなりました。

第1部と第2部の二部構成で、第1部は「風流踊交流フェスタ」と称し、役場隣の羽後アリーナ(羽後町総合体育館)で実施。第2部は「にしもないde踊らナイト」として西馬音内本町通りで開催されました。実行委員会発表来場者数は第1部で700人、第2部で300人!町内外から多くの人が集い、多種多様な伝統芸能に触れる機会となりました。

次世代の担い手たちが、芸能への思いを共有

イベント本番前、今年で5度目となる「担い手交流会」が行われました。郷土芸能の後継者不足が全国的に課題となっている今日。地元の郷土芸能部員が他地域で同じように芸能に取り組む同世代の若者たちと交流することで、町の郷土芸能への理解と関心を深め、次世代の担い手としての意欲を高めていくことが期待されています。

昨年までは郡上おどりと西馬音内盆踊りの中高生のみの参加でしたが、今年は3地域から若者が集結。岐阜県から郡上おどり保存会ジュニアクラブと卒業生、鹿角市から鹿角高校伝統芸能同好会、羽後町から羽後中学校盆踊りクラブとその卒業生たちが参加しました。

まずは担い手による芸能の解説や披露を見せてもらい、その後は全員で輪の中に入って一緒に踊ります。普段から踊りに慣れ親しんでいるだけあって、初めて挑戦する踊りも自然と吸収して楽しそうに踊る学生たち。担い手交流会を通じて、多地域の若い世代による踊りを通した交流の場が実現しました。

共に踊り、地域を超えて通じ合う

午後12:30になり風流踊交流フェスタが開幕。まずは、元城獅子舞保存会による「元城獅子舞(羽後町)」から。今から650年以上前に山形県羽黒山の修験者によって伝えられた元城獅子舞を復活させるべく、50年前に作られた元城獅子舞保存会。「神舞獅子舞」と、平安と疫病退散を祈願する武士の舞「信夫」を披露しました。

続いてはユネスコ無形文化遺産「風流踊」、日本三大盆踊りの一つでもある「郡上おどり(岐阜県郡上市)」。郡上おどりとは切り離せない踊り助平も大集合(「踊り助平(おどりすけべえ)」とは、郡上おどりが好きで好きでたまらない人たちへの敬意を込めた呼称)。

郡上おどりは親しみやすい踊りなので、踊りの解説を挟み、観客も加わって踊ります。踊りが始まれば、初心者もベテランも一切関係なし!これぞまさに、郡上おどり。保存会ジュニアクラブのお囃子に合わせ、全10曲のうち「かわさき」「三百」「春駒」「げんげんばらばら」の4曲を踊りました。

郡上おどりが終わると、続いては「仙道番楽(羽後町)」。盛衰を繰り返しながら生活に寄り添う形で400年もの間、継承されてきた仙道地区の伝統芸能です。今回は全12幕の演目のうち「獅子舞」「鶏舞」の2幕を披露しました。この日は町外からの来場者も多く、羽後町の伝統芸能に見入りました。

ユネスコ無形文化遺産「風流踊」、秋田三大盆踊りの一つ「毛馬内盆踊り(秋田県鹿角市)」は抱えて叩く大きな太鼓と、身分関係なく踊るために始まったといわれのある頰かむり、6つの振り付けで完結するシンプルな踊りが特徴。拝む振り付けが特徴的な「大の坂(だいのさか)踊り」と民謡のみで踊る「甚句踊り」、「じょんから踊り」の全3つの踊りを披露しました。

「ヤットサー」「ア、ヤットヤット」と調子の良いかけ声で登場したのは「東京高円寺阿波おどり連協会所属朱雀連(すざくれん)(東京都)」。ステージパフォーマンスが終わると、踊り方の解説へ。観客席を囲む大きな輪をふたつ作り、両手を上げて腰を落とし「ヤットサー」「ア、ヤットヤット」と声を張り上げ、観客総出で踊りに興じました。

ユネスコ無形文化遺産「風流踊」の一つ「鬼剣舞(岩手県北上市)」は、亡き人を供養し、魔を祓い、神様に奉納する念仏踊り。岩崎鬼剣舞保存会によって、18演目のうち悪魔を祓う「三番庭」、2人1組の余興「カニむくり」、8人が刀を持ち踊る「八人加護」が披露され、勇壮な演舞に拍手が沸き起こりました。

第1部のトリを飾ったのは「西馬音内盆踊り(羽後町)」。西馬音内盆踊保存会の会長・佐藤寛悦氏による挨拶のあと、保存会の踊り手と地元の踊り手が一緒になって「音頭」と「がんけ」の踊りが披露されました。

そして、会場いっぱいに広がって藤田貞子先生による音頭の踊り方の解説を受けたあとは、来場者も加わって共に踊ります。最後はステージ前に集まり、お囃子を盛り立てました。

第1部フィナーレは、出演者全員がステージに集合。「みなさんの笑顔にお会いできました今日この時に、私たち一同感謝の気持ちでいっぱいです。それぞれの踊り、またそれぞれの道の先でまた皆さまとお会いできますように。本日は本当にありがとうございました!!!」MCちゃきさんの挨拶で、第1部が幕を閉じました。

日本三大盆踊りが共演、かがり火かこむ

時刻は18:00。西馬音内本町通りに会場を移し、郡上おどりから第2部がスタート。郡上おどり保存会の踊り手と踊り助平のみなさん、第1部で踊りを覚えたみなさんで輪を作って一緒に踊ります。野外ならでは、下駄も解禁!また第2部は、郡上おどりと高円寺阿波おどりのお囃子に西馬音内盆踊保存会の囃子方の姿が。この日しか見られない、夢の共演が実現しました。

阿波おどりは、第1部と同様に朱雀連の踊りから。踊り手の持つ提灯と元気な掛け声が、西馬音内の夜道を明るく照らします。続いて踊りの解説を挟み、全員で踊る時間。明るい掛け声につられ思わず笑顔に。軽やかな足取りで、時間を忘れて踊ります。

第2部もトリを務めたのは、西馬音内盆踊り。西馬音内盆踊保存会と地元有志の踊り披露に始まり、続いて藤田貞子先生による解説。「がんけ」を踊るため道路に砂を撒き、本番さながらの本町通りの雰囲気に気分が高まります。いつしか輪は膨らみ、各芸能の踊り手も観客も総出で二重の輪を作って踊りました。

早いがんけと遅いがんけからの、フィナーレ。出演者も来場者も全員が囃子方の前に集まって、囃子方の寄せ太鼓を盛り上げます。

そして、恒例のお囃子アンコールも!「七両三分の春駒 春駒」「ヤットサー ア、ヤットヤット」と、西馬音内盆踊りの寄せ太鼓に郡上おどり春駒と阿波おどりの掛け声も混ざりあい、ボルテージは最高潮。名残惜しさ全開で、風流踊交流フェスタ第2部にしもないde踊らナイトは幕を閉じました。

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UGONEWS編集部(地域おこし協力隊|岸峰祐)