筆者自らが米づくりに関わる「コメをつくる!」という企画。以前は種まきの取材をさせていただきました。
種まきに続き、田植え・稲刈りについても「郡山営農組合」さんで体験させていただきました。果たして、春に植えた種はどのような米になったのか。だいぶ時間が経ってしまいましたが…前回に引き続き後編の体験レポートとして紹介します!
豊作への祈りを込めて。田植えを体験。
田植えの時期は5月中旬ごろ。たった数日で背が大きく立派になった苗を軽トラに段々に積み、大きな田植え機を使って、水を張った田んぼに植えていきます。
↑今回使用した8条植えの田植え機
苗を育てている場所〜圃場までの距離があるため、効率的に作業を進めることが重要。苗箱をハウスから圃場まで運ぶ班、田植え機で苗を植え付けしていく班の大きく二手に分かれ、作業を進めていきます。
↑ハウスから苗箱を軽トラに積み、田んぼへ
私は田植え機に実際に乗り植え付け作業をさせていただくことに。植え付けの前に、まずは燃料や肥料、除草剤を田植え機に補充。そして、苗を田植え機後方の苗のせ台にセットしていきます。このとき苗が詰まるなど起こらないよう慎重に入れていくことが重要です。
↑肥料の種類は田によって変えることも
ようやく植え付けスタート!まっすぐ植え付けられるよう慎重に前に進んでいきます。最初はまっすぐ前に進むことさえ難しかったのですが、徐々に慣れてきてバランスを取りながら運転できるように。機械では植え付けするのが難しい田んぼの端や、欠株が生じてしまった箇所は手植えで対応。いまはこのように機械で植え付けをすることが主流ですが、先人たちは全て手で植えていたかと思うと、尊敬せずにいられません。
↑前進すると、機械後方の植付部から自動で苗が植え付けされる仕組み
↑欠株が生じたところは手植えで対応
↑植え付けが終わった田んぼ
↑泥が詰まらないように田植え機を洗浄
さて、どんな稲になっているでしょうか!
秋の実り。稲刈りも体験。
田んぼは辺り一面黄金色に色づき、待ちに待った稲刈りのシーズンが到来。今年は猛暑の影響もあり、例年より数日早い9月中旬に稲刈りがスタートしました。
稲刈りも田植え同様に、大きく2つの工程に分かれます。
①刈り取り
コンバインでの刈り取り、刈り取った籾の車への排出、移動までを担当。主にその日に刈り取りを行う圃場周辺での作業となる。
②乾燥・籾摺り・袋詰め
運んできた籾を乾燥機へ移動。乾燥が終わった米の籾摺り〜袋詰めを担当。主に乾燥機や籾摺り機がある倉庫での作業となる。
私は両方を体験させてもらいました。
まずは刈り取りから。
刈り取りは朝早くから始めることができません。刈り取った籾が濡れていると、コンバイン内の籾が詰まってしまうなど、作業遅延や故障の原因に繋がるからです。そのため、雨の日はもちろん、晴れていても朝露が落ちるまでは刈り取りを進めることができません。
朝露が乾くまでコンバインの準備を進めます。燃料の補充に加え、大切なのがコンバインの掃除。一度で大量に刈り取りができる便利な機械だけに、稲わらや籾が詰まってしまうとその日の作業が止まってしまいます。何事もなく刈れるよう、丁寧に準備を進めていきます。
↑ブロワーでコンバイン内を掃除
↑コンバイン2台で刈り取りを行う
刈り取った稲は脱穀され、コンバイン内に蓄えられていきます。コンバイン内が籾で一杯になったら、軽トラに積んだコンテナやダンプカーに排出。それを乾燥機のある倉庫まで運びます。
↑刈り取った籾を排出
以上が刈り取りの一連の流れです。
次に乾燥・籾摺りの工程。
軽トラやダンプカーに積んだ籾を倉庫まで運び、乾燥機へ移動します。刈り取ったばかりの米は水分を多く含むため、水分量が約15%程度になるように乾燥させます。そうすることで、米をより長く保存でき、食感や味も良くなるのだそう。刈り取った籾に対し当日行う作業はここまでです。
↑乾燥機に米を移動する
↑乾燥機で一晩かけて米を乾燥
乾燥と並行して、乾燥が完了した米の籾摺りを進めます。乾燥まではまだ籾殻がついた状態のため、出荷するには玄米の状態まで籾摺りを行う必要があります。玄米になるまでに、ふるいで米のサイズを分けたり、不良米や混ざっている小石を弾いたり。複数の工程を通じて仕分けが行われます。
↑サイズが小さい米は選別機で仕分け
籾摺りが終わると袋詰め。計量器を使って、約1tもあるコンテナや家庭用の60kgの米袋に入れます。米を詰めた袋は倉庫の端に置いておき、運搬業者の集荷を待つ…これで出荷までの一連の作業は完了です。
↑コンテナへの袋づめ
米づくりに関わってみて。
今年は夏場の渇水による水不足の影響があるかと思われましたが、結果的には日照時間が長かったおかげか、収量は例年より少し多く、品質も良い立派な米が収穫できました。
私が経験させてもらったのはほんの一部ですが、美味しい米を作るため、雨の日も風の日も努力をしている米農家のみなさんには頭が上がりません…。「羽後町は盆地で寒暖差があり土壌がよい」。こういった地理的な好条件は美味しいお米作りにもちろん好影響を与えているのでしょうが、一番は作る「人」であり、農家さんたちのものづくりへの誠実な姿勢と対応だと感じることができました。「羽後の米はなぜうまい?」の答えに辿り着けたように感じます。
また、様々な作業を通して、農家のみなさんはトラブル対応力がすごいな、と日々関心していました。機械類を始めとして、作業の間には多くのトラブルが起こります。これまで培ってきた経験を糧に、予期せぬトラブルにも臨機応変に対応する力。そのような「生きる知恵」は、私たち世代も見習うべきだと感じます。
米づくりを通して、多くのことを学ばせていただき、自分自身の「農」への関わり方を考える良いきっかけとなりました。
最後に郡山営農組合のみなさん、温かくご指導いただきありがとうございました!

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UGONEWS編集部(地域おこし協力隊|土田大和)
