【羽後高校×農家キッチンあるもんで】
地域の食文化を学ぶ「刈り上げの節句体験」

こんにちは!羽後町地域おこし協力隊の荻原涼(おぎはら りょう)です。

キャリア教育というミッションをいただき、羽後高校に関わらせていただいております。

2025年10月7日(火)に羽後高校生活文化コースの3年生の皆さんが長谷山邸(田代)を訪問しました。

訪問の目的は

①「刈り上げの節句」について知る
②田代の郷土食に触れる

の2つ。ここ数年間、刈り上げの節句の体験学習として毎年行われてきた活動が今年も実現。私も同行しましたので、この時の様子について少しお伝えできればと思います。

刈り上げの節句とは

古くから日本人に親しまれてきた節句。年に5回、奇数の数字が重なる日を「五節句」とするのが一般的です。

9月の節句は1年の中で最後の節句であり、「重陽の節句」と呼ばれ、五節句のうちで最も大事にされているそうです。

田代の年中行事や郷土食などについて記された「田代年中行事」によると、もともと9月の節句は

◯9/9 前の節句
◯9/19 中の節句
◯9/29終まい節句(いずれも旧暦)

と3回あり、それぞれ餅をつく風習があったそうです。

稲刈りが早く進む現代では、旧暦の9月9日(新暦の10月中旬)だけ餅をつくという人が増えているそうです。

餅つき体験

節句に欠かせない餅つき。高校生は杵を持ち、かわるがわる餅をついていきます。

今まで持ったことのある杵よりも重たかったようで、思ったように振り下ろせず苦戦する様子も見られました。

総勢16名で、なんとか餅にすることができました。

田代の味に舌鼓

餅つきが終わると、いよいよ楽しみにしていた試食の時間に移ります。

長谷山邸で土日に営業している「農家キッチンあるもんで」のお母さま方にご用意いただいたお料理を、つきたてのお餅と一緒にいただきます。

力を合わせてついたお餅は、しっかりと粘りのある仕上がりになっていました。

何より、あるもんでの皆さまの優しいお味の料理の数々。高校生や先生方もどこかほっとしたような表情を浮かべていました。山菜のミズなど、地域の食材の魅力を身をもって実感することができました。

舞踏のパフォーマンスも

さて、今回訪問した長谷山邸には、舞踏家・土方巽にまつわる資料・品物を展示する「鎌鼬美術館」が併設されています。毎年9月には「鎌鼬の里芸術祭」が開催され、世界中から舞踏家・芸術家がこの地に集まります。

なんと今回、昨年の「鎌鼬の里芸術祭」に出演したダンサーの神原ゆかりさんのパフォーマンスを特別に観ることができました。

多くの高校生にとって、舞踏のパフォーマンスを観るのは初めての経験。初めて観る前衛的なパフォーマンスに対して、一人ひとりが全然違う感想を抱いたのではないかと思います。

体験学習を終えて

地域に続いてきた食事を学ぶことで、そこから人々の暮らしのあり方や地域の文化・風習を肌で感じるような時間を過ごすことができました。そして、習慣としての食生活を知る中で、それを紡いできてくださった地域の皆様の思いや温もりも同時に感じられるような、素敵な授業になりました。

今回長谷山邸を訪れた高校3年生はおよそ半年後に卒業を控えていて、これからそれぞれの選んだ道に進んでいくことになります。地元に残る人もいれば、町外・県外に出る人もいますが、それぞれの人生の中で、今回見聞きしたことや体験したことを思い出すことがあったらとても嬉しいなと思います。

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記事制作:荻原 涼