【取材レポート|11月25日,26日開催】「旧柴田家ツアー」町内の学生と旧家をめぐる1時間

羽後町の目ぬきどおり「西馬音内街道」に門をかまえる旧柴田家で、年内最後の見学ツアーが開催されました。

呉服屋から林業まで、幅広い業種で名を挙げた柴田家一族の本家であり、江戸後期に建てられた町内有数の近代建築。今年からは地域の有志団体「うごまち企画室」が建物の管理をひきうけ、柴田家見学ツアーを開催してきました。来年にはリニューアルオープンを控え、ツアー参加者の声をとりいれた改築計画がすすめられています。

今回ツアーガイドをつとめたのは、羽後町の中学生と高校生。学校の探究学習をきっかけに旧柴田家への理解を深めてきた学生たちが、町内外からの訪問客をもてなしました。

1日目:夏の思い出を、もう一度。中学生ツアーガイド

11月25日(土)には、羽後中学校の学生2名(予定では3名、うち1名は体調不良により欠席)がツアーを実施。今年の夏、探究学習「プロジェクトU」を通じて柴田家ツアーに参加。とても楽しかったことから、「またやりたい!」とみずから手をあげたそう。

ツアー当日は、2名のお客さんと建物内を散策。旧家ならではの特色ある設計方法や建物の構造を、ひとつひとつ丁寧に説明しました。

蔵の1階には天窓から太陽光がそそぎます

一つ目の蔵の窓から、奥にある二つ目の蔵をのぞきます

蔵を守るための防火対策を解説中

取り外し可能な階段も、狭いスペースを活用するための昔ながらの知恵

急な階段は慎重に…

初雪の日とあって、スリッパを履いても底冷えする寒さでした

今回の中学生ツアーに際し、企画段階から学生たちの思いに向き合ってきた地域おこし協力隊員の黒田(通称:きゃさりん)さんのコメント。

「子どもたち自身が、リアルに実社会や大人と関わることで生まれる”やってみたい”を大切にしてあげたいなと思います。ワクワクを見つけた彼女らの行動力は子どもたちが守られていくだけの存在ではなく、自ら歩く道を創造できると教えてくれます。大人がすべきことは、整備された道を用意することではなく、『信じる』『任せる』『待つ』なんだと感じた時間でした。」

2日目:歴史と魅力を伝える。高校生ツアーガイド

翌日の11月26日(日)にツアーガイドをつとめたのは、羽後高校の探究学習「羽後学」で観光部門に所属する高校生5名。事前に旧柴田家についてレクチャーを受け、ポスター作成なども行ってきました。当日は午前9時に集合し、ツアー内容を入念に確認します。

ツアーには県内外から10名以上が訪れ、高校生も2グループに分かれて案内。学生たちが説明をする一方で、町内に住む方から昔の自給自足生活の知恵や町の歴史を教わる場面もありました。

旧柴田家が成功を納めた林業に由来する屋号

ずらすことで光の入り方が変わる障子

蔵の階段には、防犯のための隠し扉が

照明も個性的

羽後町在住のツアー参加者から、柴田家と羽後町の関わりについて教わる

蔵にしまわれている桐箪笥(きりだんす)でお宝探し

家の窓には、今では貴重な擦りガラスが使われています

同日開催の新そばまつりのために由利本荘市から訪れた工藤玲子(71)さんは、「大変わかりやすくて良かったです。梁とか(建物の)材料もいいものを使っていて、それを見れてよかったです」と話しました。


ツアーガイドを務めた羽後高校2年の宮田永遠さんは、「最初は緊張したが、説明を理解してもらえてうれしかった。ボランティアの大切さ、昔のものを残す大切さを感じた」と1日を振り返りました。同じく羽後高校2年の高橋智紀さんは、「昔ながらの家である旧柴田家をはじめ、羽後の魅力である景色のよさや歴史のある建物を町外にPRしていきたい」と抱負を語りました。

旧柴田家の利活用を計画している有志団体「うごまち企画室」によると、年始にはリニューアルに向けた工事が本格的に始まるとのこと。旧家の魅力を残しながら、次の世代に繋いでいく。これからの展開にも目が離せません。

【問い合わせ】
住所 秋田県雄勝郡羽後町西馬音内字本町23
TEL 070-3851-6786(うごまち企画室 畑崎)
Eメール hatasaki@koheykudo.com
SNS(Instagram) はこちら

今後の進展は、上記SNSをご確認ください!

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UGONEWS編集部(新人地域おこし協力隊|岸峰祐)