【UGO㊙︎STORY第1弾|化石】新属新種のウゴイルカ、特別展は3月17日まで!

新企画 UGO㊙︎STORYスタート!

昨年末に着任して以来、羽後町の歴史を知れば知るほど目からウロコな日々をすごしています。こんな面白い情報、是が非でも発信してみたい…!ということでスタートします、「羽後の歴史」もとい「UGO㊙︎STORY(ウゴヒストリー)」。羽後町に秘められた歴史や文化を一から学び、特集記事で紐解きます。

うごまちの「すごうたそう/須郷田層」がスゴイらしい。

羽後町は、秋田県を南北に広がる須郷田層(すごうたそう/地層年代:約1680〜1230万年前の中新世中期)の分布する地域。これまで多数の化石が出土し、当時の地理条件を知る貴重な史料となってきました。1949年(昭和24年)に化石が出土したデスモスチルスは、うご町郷土かるた*や校歌に登場するなど町の人々に親しまれています。

そんな須郷田層から出土した化石の生物がこの度、新属新種と判明!

*うご町郷土かるたの「り」の句=「陸棚の いまは幻 デスモスチルス」

羽後町から出土した新属新種の化石「ウゴイルカ」と命名

2月8日(木)には歴史民俗資料館でプレスリリースが行われ、筑波大学博士後期課程に所属するカク・シセン氏と秋田県立博物館 主査兼学芸主事の渡部 均氏が来訪。専門的な知見のもと、今回の研究成果を解説しました。

この脳頭蓋(のうとうがい)化石は、1992年(平成4年)に町内の田代突茂沢地区から出土したもの。国立科学博物館兼所属で筑波大学大学院教授の甲能直樹氏とカク・シセン氏による研究が令和元年〜5年にかけて行われ、イルカの祖先の仲間であるケントリオドン類の化石であると判明しました。

カク氏いわく、ケントリオドン類の出土は日本で4例目。他にも世界各地で生息が確認されているといいます。一方で今回の化石は状態が非常に良く、また研究の結果から以下のような固有の形質があることが発覚。系統解析からも、今まで出土したものとは異なる新属新種であることが確認されました。

《ウゴイルカ固有の特質》
・前上顎骨孔(ぜんじょうがくこつこう)がより側方に位置する
・正中線(せいちゅうせん)周りの前上顎骨が側方より高い
・翼状骨窩洞(よくじょうこつかどう)の先端が眼窩前切痕(がんかじょうせっこん)より後方に位置する

当論文はオープンアクセスの国際学術誌『PLOS ONE』で2023年2月に出版。「ウゴイルカ」は和名で、学名はギリシャ語由来の「Platysvercus ugonis(プラティスヴェルクルス ウゴニス)」。属名の”Platysvercus”が「広い後頭部」、種名の”ugonis”が「羽後産の」という意味とのこと。

論文の一部は化石の現物とともに、歴史民俗資料館の特別展に展示されています。自分の住んでいる町の名前が世界共通の学名になるなんて、なんとも不思議な気持ちですね…。

3月17日まで特別展延長!羽後町の地理学ぶ機会に

現在、羽後町の歴史民俗資料館にて特別展「ウゴイルカのいた海〜羽後町の化石展〜」が開催中です!

羽後町を含む須郷田層では、これまでも貝類や四肢動物(ししどうぶつ)であるデスモスチルスの化石が出土してきました。ウゴイルカはデスモスチルスなどと同じく海棲動物(かいせいどうぶつ)。羽後町が当時温暖気候で浅海に覆われた地域であったという今までの説に加え、イルカも住んでいたことが判明する貴重な研究となりました。

今回の特別展では羽後町の地形の変化が、図式と解説文をもちいて紹介されています。また、普段は歴史民俗資料館に所蔵されていないデスモスチルスの歯の化石やサメの歯の化石、貝化石も期間限定で展示中です。

当時の仲間に囲まれたウゴイルカに会いに、歴史民俗資料館を訪れてみてはいかがでしょうか?

【特別展情報】
ウゴイルカのいた海〜羽後町の化石展〜
会場 歴史民俗資料館秋田県雄勝郡羽後町西馬音内字上川原30-1)
開館時間 午前9:00〜午後4:30
観覧料 無料
休館日 毎週月曜日及び火曜日(祝日が重なった場合はその次の平日)・年末年始

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UGONEWS編集部(地域おこし協力隊|岸峰祐)