【うご農家訪問】羽後町の特産品「スイカ」ができるまで part.1



夏になると道の駅うごにズラッと並ぶのが、採れたて新鮮な羽後町産スイカ。羽後町では昭和20〜30年ごろにスイカの栽培が始まったといわれており、現在では町の特産品として町内外から人気を博しています。

ところで、スイカってどうやってできるか知っていますか?

今回は、「町の人なら誰でも知っている!?」というくらい町内各所で盛んにつくられているスイカに注目。夏の食卓にみずみずしい味わいを届けるスイカの栽培の様子を取材しました。記事の末尾には、道の駅うご 端縫いの郷にて今週末に開催される『スイカ市』の情報もまとめています。ぜひ最後までご覧ください!

自然と向き合う日々。美味しいスイカを作るために

今回の取材にご協力いただいたのは、羽後町でスイカの露路栽培をされている恵美子(えみこ)さん。道の駅うごにも例年スイカを出品しているそう。「美味しかったです」「今年も恵美子さんのスイカを買いにきました」といったお客さんの声を励みに、今年も小玉スイカの栽培に取り組んでいます。

5月初旬

恵美子さんの畑を初めて訪れたのは、スイカの苗を植え付ける「定植」の日。

まずは畑に敷かれたマルチの丸い穴に苗が入るくらいの溝を掘り、ポットから苗を出して植えていきます。恵美子さんの畑では、病気などを予防するためにユウガオの接ぎ木苗(つぎきなえ)を使用しているそう。

つるの伸びる方向を考えて少し斜めに植えるのがコツ。苗を植え付けたら、上から土をかぶせて軽く押さえます。

植え付けの説明を伺った後は、私も定植作業に挑戦させていただきました。初めて体験する作業に緊張しながら、一つ一つ植え付けていきます。手のひらサイズの苗を手に取り、「これほど小さな苗にあの丸々としたスイカがつくのか…!しかも一つではなく何個も!?」となんだか不思議な気持ち。これからの成長が楽しみです。

苗の植え付けの後は、遮光や保温のために育苗キャップを被せます。四角形を2つ合わせたような立体的な紙キャップで苗を覆い、2本の串で両端を固定して今日の作業は完了。このキャップに加え、その日の天候によって上部のトンネルを開閉して暑さや風量を調節するそう。自然環境に対応しながらスイカを育てる、地道で大切な作業です。

6月中旬

2度目に恵美子さんの畑を訪れたのは、前回の取材から一ヶ月と少し経った日の午前中。スイカのトンネルの外側にはつるが生い茂り、前回からの成長を感じます。トンネルのカバーを外すと内側からも立派なつるが顔を出し、葉が数枚しかなかった手のひらサイズの苗の面影はどこへやら。

この日は「整枝作業(せいしさぎょう)」。不要な巻きひげや小さい実をとり、絡まりをほぐしてつるを整える作業です。一本一本のつるはとても長く、奥に手を伸ばすと手前のつるに引っかかってしまいそう。つるの横にしゃがんで慎重に作業を進めるのがコツとのこと。

前回同様、私も作業をお手伝いさせていただきました。見ているとシンプルな作業ですが、実際にやってみると…これが想像以上に難しい。どこからどこまでが同じ苗のつるなのかわからず手間取り、奥のつるを解く間に手前のつるがひっくり返ってしまい。日差しが照りつける中での慣れない作業に、だんだんと気持ちが焦ってきます。

そんな私を横目に、ワサワサと茂ったつるをかき分け、サッサッと小さな実や巻きひげを取ってつるをまとめていく恵美子さん。作業の難しさを身をもって知ったからこそ、早さと丁寧さを兼ね備えたプロならではの手業に圧倒されます。手際の良い恵美子さんと1/5ほどの速度の私とで作業を進め、今日の工程が終了しました。

作業後は、早期に植え付けた隣の畝を見せていただきました。こちらは「授粉作業」の真っ最中。全ての花に受粉するのかと思いきや、二番花までは実の形が悪くなりやすいため取り除き、三番花・四番花に着果させるそう。つるを伸ばし葉数を増やすのも、十分な個数を収穫する上で重要なポイント。ある程度まで伸びたら親づるを折って成長を止めます。

スイカが収穫できるのは、受粉から32〜33日後。受粉した日がわかるように、それぞれのつるに異なる色で印をつけます。スイカの実が大きくなってきたら、形や大きさを見ながら生育を調整。スイカの底面は網目の色が薄くなるので、色が均一になるように定期的に「玉直し作業」も行うそう。美味しいスイカ作りは予断を許しません。

日々の徹底した管理と、節目節目の繊細な作業。この記事では拾いきれていない作業の数々。「お客さんの手に美味しいスイカを届ける」ためにこれだけの手間暇がかかっているのか、と頭が下がる思いです。次回は収穫からスイカが店頭に並ぶまでに密着します。スイカ密着part.2の記事もお楽しみに!

大玉&小玉スイカが勢揃い!7/20〜22は『スイカ市』

大玉スイカ&小玉スイカ大放出の3日間!今月初旬に行われた『小玉スイカ市』に続き、たくさんのスイカが道の駅うご 端縫いの郷の店頭に並びます。昨年は3日間で約2,000個を売り上げたという『スイカ市』。朝だけでなく日中も随時入荷予定で、当日気に入ったスイカは自宅宛や贈答品として発送も可能です。

「どのスイカがいいのかわからない…」という方もご安心を。食べごろを熟知した直売所スタッフが、ご希望を伺ってベストな逸品をご提案します。羽後町で育った旬のスイカを持ち帰って、みずみずしい味わいと共に夏らしい週末を過ごしてみては。詳細は道の駅うごのホームページや各種SNSをチェックしてみてくださいね。

〜『スイカ市』開催概要〜

【日時】
2024年7月20日(土)、7月21日(日)、7/22(月)各日9:00〜18:00

【場所】
道の駅うご 端縫いの郷
農産物直売所・おもしぇ通り
住所 秋田県雄勝郡羽後町西馬音内字中野200(地図

【問い合わせ先】
道の駅うご 端縫いの郷
TEL 0183-56-6128
MAIL info@hanuinosato.jp
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UGONEWS編集部(地域おこし協力隊|岸峰祐)