【西馬音内盆踊り特集2024-③】
人から人へ。世代を超えて継承される盆踊り

本日からお盆の期間がスタートし、西馬音内盆踊りまであと3日。今年の本番は8/16(金)、8/17(土)、8/18(日)の3日間で行われます。UGONEWSでは【西馬音内盆踊り特集2024】として、「これを知っていれば西馬音内盆踊りを何倍も楽しめる!」という記事を本番まで数回にわたってお届けしています。

第3弾となる今回は西馬音内盆踊りの「踊り」に注目。7月下旬から8月上旬にかけ盆踊り会館で行われた「夏休み短期集中練習会」を取材しました。盆踊り本番に向けた練習の様子と2種類の踊り、当日の見どころを特集します。

日々の積み重ね つなぐ盆踊りの伝統

本町通りにある西馬音内盆踊り会館では、西馬音内盆踊保存会(以下:保存会)の主催で7月下旬〜8月初旬の5日間にわたり「夏休み短期集中練習会」が実施されました。

参加したのは、羽後中学校の盆踊りクラブや羽後高校の郷土芸能部に所属する学生たち。日頃から保存会の指導を受け、学校で練習を重ねてきました。今回の練習会では踊りとお囃子に分かれて細かい部分を確認し、本番を見据えて合わせの練習も行いました。

踊りの練習は、口拍子(くちびょうし)でリズムをとりながら進めます。

「ドドンナ ドンナ ドーンドッコイナ オイトコドッコイ ドッコイナ オイトコドッコイナ … 」(音頭)

「トントントン カンカンカン トーントーン カンカンカン … 」(がんけ)

お囃子は笛と小太鼓、地口に分かれて練習を行います。各々がやりたい楽器を選んで練習しているとのこと。西馬音内盆踊りに挑戦するのは今年が初めてという生徒もおり、それぞれが真剣なまなざしで練習に取り組みました。

8月初旬の練習日には着付け指導が行われ、保存会メンバーから着付けの仕方を教わりました。今回は、各自が持ち寄った踊り浴衣や囃子方の衣装の着付け方を教わります。「当日はお互いに着付けをできるように」と、2人1組でお互いの着付けをする場面も。わからないところは質問しながら、一つ一つ丁寧に確認を行いました。

西馬音内盆踊りとの接点は物心つく頃から

今回のような盆踊りの直前練習は、西馬音内地区のこども園(保育園)小学校でも行われるそう。西馬音内盆踊り保存会や盆踊り愛好グループ・北の盆が各施設を訪れ、指導にあたっています。小学校ではほかにも歴史の勉強や調べ学習、観光客に配布する手作りポストカード作成など盆踊りに関わる活動が盛んに行われています。

地域では通年で行われる西馬音内地区内の練習会があり、月一回の一般練習会町民練習会で踊りとお囃子を継承しています。8月の直前練習会では、本番さながらの暗くなった野外で生演奏のお囃子と地口に合わせて踊ります。また、西馬音内盆踊りは全国に愛好グループがあり、日頃から練習を重ねて盆踊り当日には羽後町で一緒に踊ります。

長年西馬音内盆踊りの踊りやお囃子をしてきた家族に連れられ、物心つく頃から盆踊りに親しんできた地域の人々。それに加え、地域外の人々も迎え入れてともに踊るという開かれた雰囲気が人気の理由だといいます。老若問わず幅広い世代でともに踊る西馬音内盆踊りの風土が、700年の伝統を今に繋いでいます。

2種類の踊り「音頭」「がんけ」

西馬音内盆踊りには、「音頭(おんど)」「がんけ」の2種類の踊りがあります。

「音頭」は優雅で流れるような踊りで、「がんけ」より覚えやすい振りだと言われています。それに対し「がんけ」はテンポが早く、振りも軽快。途中でくるっと一回転するのが特徴です。また、後半にかけてテンポが次第に早まるなど踊り手との掛け合いもみられます。どちらも現在は1番と2番の振りがあり、異なる振り付けを交互に踊ります。

踊りの際には、編み笠「彦三(ひこさ)頭巾」を着用します。一説には、歌舞伎役者の坂東彦三郎の黒子の覆面を模したことから彦三と呼ぶようになった、とのいわれもある真っ黒な頭巾。亡霊を表すともいわれており、西馬音内盆踊りが「亡者踊り」と呼ばれる所以となっています。

羽後町の歴史民俗資料館には盆踊りの解説が展示されている

大人が踊るのは夜9時から…!?

西馬音内盆踊りの本番は午後7時半から。しかし、前半は子どもが中心の踊り。親世代やベテランの踊り手が踊りはじめるのは、8時50分〜9時ちょうどの10分休憩を挟んで午後9時にスタートする第二部からです。また第一部で演奏されるのは音頭のみで、がんけが演奏されるのは第二部からだそう。夜9時からの踊りも見逃せません。

参考文献:
西馬音内盆踊り公式ガイドブック2011(2011)観光物産協会
西馬音内盆踊りリーフレット. 観光物産協会(リンク
小西尚子(2023)「伝統と文化」公益財団法人ポーラ伝統文化振興財団

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UGONEWS編集部(地域おこし協力隊|岸峰祐)