【西馬音内盆踊り|2024年取材レポート】
県内外から10万人強が来場。羽後町の夜に舞う

2024年8月16日(金)、17日(土)、18日(日)の3日間、羽後町西馬音内地区の本町通りにて西馬音内盆踊りが行われました。週末をはさんだ今回は10万3000人が来場。3年間のコロナ禍を経て久々の対面開催が実現した昨年の来場者6万2千人を大きく上回り、平成26(2014)年以来10年ぶりの賑わいとなりました。

UGONEWSでは写真を交えながら当日の様子をレポートします。また盆踊り期間までの間には4回にわたり【西馬音内盆踊り特集2024】をお届けしました。ぜひそちらもあわせてご覧ください!↓

【西馬音内盆踊り特集2024-①】 盆踊り衣裳と「藍と端縫いまつり」

日中の展示で盆踊り前の羽後町を堪能

西馬音内盆踊り当日。お昼過ぎには、町内各所に観光客の姿が。

本町通りを中心に、屋台や土産物店が軒を連ねます。

羽後町中央公民館(通称:コミュニティセンター)では4つの催しが実施されました。JAこまち女性部に所属する藍染しぼり愛好会は会員が製作した藍染の浴衣を展示。のれんや巾着袋といった藍染作品の販売も行いました。

日頃から県内外で西馬音内盆踊りを披露している北の盆は、西馬音内盆踊り交流会を開催。正調の盆踊りにはじまり、シンセサイザーを使ったオリジナル音源での踊り披露や体験会も行いました。太鼓の体験と踊りの手ほどきには多くの観客が参加。最後は曲に合わせて踊りました。

コミセン2階で行われたのは、五島まさを氏の絵画展。一階ではポストカードや五島氏のイラストを使用したカレンダーの展示販売も行われ、通りすがりの方が足を止めて見入りました。

17日、18日には納涼昔語り口演が行われ、「羽後昔っこの会」が羽後町に伝わる5つの昔語りを披露しました。「秋田弁はわかりますか?」との語り部の言葉には笑いが起こりつつ、頷きや笑い声を交え聞き入りました。

この時期限定の芸能や味覚を味わう

西馬音内盆踊り2日目にあたる8月17日(土)には、白山神社で仙道番楽の奉納が行われました。神社の車道脇に自動車が列をなし、多くの方が来訪。仙道番楽の全12演目のうち獅子舞と鶏舞の2演目が披露されました。

獅子舞のあとには、頭を差し出して噛んでもらう場面も

田代地区では17日、18日の二日間で農家キッチン「あるもんで」が営業。隣にある鎌鼬美術館にも県内外から来訪があり、館内を見学しました。レストラン結心古民家カフェ「阿専」みはらし荘も各日ランチ営業し、羽後町の味覚を味わいに訪れたお客さんで賑わいました。

季節限定の「あるもんで御膳」

コロナ禍を乗り越え、戻ってきた賑わい

夜19:30を迎え、いよいよ西馬音内盆踊りがスタート。近年は三日に一度は雨天に見舞われ、屋内での開催となっていた西馬音内盆踊り。2日目の8月17日(土)には日中に通り雨が降り野外実施が危ぶまれたものの、天気はすぐに回復し無事屋外での開催が実現。幻想的な風景を一目見ようと多くの観客が訪れました。

かがり火広場に立ち並ぶ屋台も、休憩がてらお腹を満たしに来た観客で賑わいます。

踊り手のおおよその述べ人数は初日が700人、2日目は800人、3日目に900人、と日を追うごとに増加。幼少から年配の方まで、幅広い世代の方々が一つの輪を作って踊りました。

踊り手の中には、毎年姿を現す「ホーホー隊」が登場。お囃子の地口にあわせて「ホー ホー キタカサッサー」などと大きな声をあげ、男踊りを披露する若衆集団。力強い踊りとかけ声に、周辺の客席からは拍手が起こりました。

盆踊り会場となった本町通りにはかがり火が焚かれ、煙の匂いと熱さが独特の雰囲気を演出します。最終日の踊りの時間は1,2日目より30分長く、23時まで。交互に演奏される音頭とがんけのお囃子に合わせ、各自休憩も挟みながら踊る踊り手たち。笠や頭巾の下で何を思うのか、見る側には知り得ない世界を思いながら進みます。

西馬音内盆踊りの最後を飾るのは、お囃子の寄せ太鼓。最終日の8月18日(日)も寄せ太鼓を合図に踊り手と観衆が櫓の下に集い、囃子方に手拍子を送りました。

囃子方も盛大な演奏でアンコールに応えます。最後は盛大なフィナーレで閉じ、コロナ禍以前の光景が戻りました。

久々の対面開催が実現した昨年に続き、コロナ禍以来2度目の対面開催となった今回。2022年には風流踊りの一つとしてユネスコ無形文化遺産に登録され、さらに注目が集まっています。羽後町西馬音内地区の伝統行事である西馬音内盆踊り。これからも外と内を繋ぎながら、先祖供養や豊作祈願の盆踊りとして受け継がれていきます。

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UGONEWS編集部(地域おこし協力隊|岸峰祐)