2024年8月16日(金)、17日(土)、18日(日)の3日間、羽後町西馬音内地区の本町通りにて行われた西馬音内盆踊り。その特徴の一つが、お囃子の生音と地口などの生唄に合わせて踊られることです。そうしたお囃子の奏者を「囃子方(はやしかた)」といいます。詳細は盆踊り直前特集の「お囃子」特集記事をご覧ください!↓
今年も西馬音内盆踊り本番に華やかな音色を響かせた囃子方のみなさん。今回は当日昼の準備から盆踊り終了後の片付けまで、その職人技の一部始終をお届けします!
囃子方の集合時間は正午過ぎ
外気温30度を上回る午後1時半。西馬音内盆通り会館の2階に集まったのは、本番でお囃子を務める西馬音内盆踊保存会(以下、保存会)の囃子方のみなさん。お囃子の太鼓や櫓の幕は屋外に置いておくわけにはいかず、毎日準備しなおす必要があるそう。一人一人が真剣な表情で作業に取りかかります。
幕の設置が終わると、今度は電球を取り付けて赤提灯をかぶせ、大きな灯籠を数人がかりで運んで櫓の端へ。例年の作業とあって、迷いなくテキパキと準備を進めます。舞台の準備が一通り終わると、続いては太鼓の設置です。
まずは太鼓を固定する柱を櫓に取り付け、その上に太鼓を載せて縄で固定します。迷いなく縄を回し、何重にも縛り付ける作業に緊張が走ります。太鼓を固定したら、実際に叩いて強度を確認します。気になるときは一度取り外して、一から付け直すことも。万全な状態で本番を向かえるために、入念な準備が続きます。
準備開始からおよそ1時間。西馬音内盆踊りで見慣れた櫓が完成しました。この後は音響スタッフの方々がマイクや配線を整備し、囃子方の入る本番の櫓が出来上がります。
世代を超えて、共に囃す
陽が沈み薄暗くなってきた夜7時。踊りはじめる午後7時半を前に、寄せ太鼓が始まります。ここでは小中高生が笛や太鼓で参加。今年初めて櫓に上がる人もいる中、それを感じさせない揃った音色を奏でます。
お囃子にあわせて地口や甚句を唄い上げるのは、櫓の中央前方で鼓や鉦(かね)を操る囃子方の面々。順番に歌詞をまわしながら、力強い唄声を響かせます。
午後9時からの第二部は、保存会の囃子方が中心となって囃します。音頭だけだった第一部に比べ、第二部からはがんけも加わり緩やかな音色が響き渡りました。
そろそろ盆踊りも終わりに近づき、囃子方は扇の動きに合わせてがんけの調子を変えながら囃します。複数のお囃子があり、一つのお囃子の中でも調子が変化する西馬音内盆踊り。囃子方のうちの一人が扇や手を使って調子の変化と曲の変わり目の合図を出し、お囃子全体の音色を揃えているそう。
最後のがんけも終わり、お囃子は寄せ太鼓に移ります。最後の力を振りしぼる囃子方の面々。櫓から身を乗りだして、踊り手や観衆を盛り上げる囃子方も。
締めの寄せ太鼓が終わると、西馬音内盆踊りは終了。囃子方は櫓下の聴衆や知り合いに笑顔で手を振り、盆踊りが無事に終了した喜びを分かち合いました。
以下は、囃子方の控え室で撮影された写真。現在使われている囃子方の新柄の浴衣(左後方)は20年ほど前に作成されたものだそう。今回の盆踊りでは囃子方の先輩方を偲ぶため、中日にあたる8月17日(土)に旧柄の浴衣を揃えて着用しました。
提供:西馬音内盆踊保存会
また来年。最高のお囃子を届けるために
西馬音内盆踊りが終わり、踊り手や観衆が帰りはじめる頃、囃子方は櫓の片付けに取りかかります。長時間演奏した後の片付け。櫓上の高所での作業に、その表情は真剣そのもの。櫓の縁に近い場所での作業は、準備と同様に他の囃子方が帯や浴衣を掴んで支えます。灯籠や提灯、敷物まで残さず片付けます。
櫓前にかけていた幕は、来年まで綺麗に仕舞っておくために壁に吊るして整えます。最後は全員で輪を作り、挨拶をして解散しました。
櫓上方に付けられていた上幕
櫓の上で3日間、最終日は4時間にわたって生演奏を響かせた囃子方のみなさん。西馬音内盆踊りの時間が終わった後も疲れた顔を見せず、やり切った様子。活き活きとした表情を見せてくださいました。また来年も、かっこいい生演奏をみせてください。三日間、本当にお疲れさまでした!
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UGONEWS編集部(地域おこし協力隊|岸峰祐)