羽後町の特産品で、納涼の代表格でもある「スイカ」。UGONEWSでは羽後町でスイカを育てている恵美子さんの畑に伺い、その栽培の様子に密着。2つの記事にわたって、美味しいスイカが食卓に届くまでをお届けします。
part.1では苗の定植から整枝までの様子をご紹介しました!こちらからお読みいただけます↓
一進一退の攻防。すべては収穫の日まで
7月中旬
恵美子さんの畑を訪れたのは、最高気温が30度を超えた日の早朝。前回の取材からおよそ一ヶ月が経ち、ちょうど収穫の時期になっていました。
畑を訪れると、まず目に入ってきたのが電気柵です。スイカの実がつき始めてからタヌキがスイカを食べに来るようになったそう。「1日に5個ずつ食べられていた」と険しい表情の恵美子さん。こうした被害を防ぐため、畑をぐるっと囲むように電気柵を設置しました。獣害は羽後町のスイカ農家でも大きな課題となっているようです。
そして収穫開始。小さな苗を植えた日から2ヶ月が経ち、畑には大きなスイカの実がゴロゴロとなっていました。受粉日がわかるようにそれぞれの枝につけていたマークを確認し、生い茂ったつるから収穫適期のスイカを次々と取り出していきます。
少し収穫が進んだところで恵美子さんが差し出したのは、小さな茶色い傷のようなものがついたスイカです。
「今年はオオタバコガの被害が大きかったですね。蛾の幼虫がスイカの皮に小さな穴を開けるんです。防除(害虫や病害の駆除)はしているのですが、受粉のタイミングなど防除をできない時期もあり行き届かないところがあって。このようなスイカは”傷もの”として出品しています」
オオタバコガの被害はスイカの表皮のみで中身に影響はなく、味の品質も変わらないそう。同じ品質のスイカを少し安い値段で購入できるので、お客さんにとっては「お得」な商品だと恵美子さんは語ります。
収穫が終わると、山積みのスイカを載せたトラックは恵美子さんのお宅へ向かいます。こちらの倉庫で重さを測り、スイカの重量によって2L/3L/4Lのシールを貼りつけます。これで出荷準備は完了。あとは道の駅うごに運び、出品用のシールをつけて商品棚に陳列すれば完了です。お客さんの反応を楽しみに、帰路に着きます。
最後に、恵美子さんが育てたスイカをいただきました。こちらのスイカを糖度計で測ると…なんと15度!道の駅うごの出品規定は「12度以上」とのこと。その綺麗な断面と甘さに衝撃を受けて思わず「うまい…!」。
スイカの味や色も天候に左右され、曇天が続くと果肉がピンク色になったり、種が真っ黒にならなかったりもするそう。各日の温度の累積である「積算温度」も果実の育成管理には欠かせない要素です。様々な困難を乗り越えて、このスイカが食べられていると思うと、その味わいはさらに特別なものに感じられます。
朝夕で寒暖差の大きい盆地ならではの気候の恩恵を受け、甘く美味しく育った羽後町産スイカ。小玉スイカは7月、大玉スイカは8月が最盛期だそう。その90%以上が水分といわれるスイカ。これからさらに暑さを増してくる季節、水分補給にもピッタリの一品です。羽後町では今年もまだまだ絶品のスイカを堪能できそうです。
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UGONEWS編集部(地域おこし協力隊|岸峰祐)