Atoa.初の秋田公演、3人で奏でる迫力の音色
12月22日(金)、西馬音内盆踊り会館にて「Atoa.×北の盆」が開催されました。宮城を拠点に公演や作曲活動を行い、一流の舞手や音楽家とも共演を重ねてきた和太鼓集団 Atoa.が、多賀城創建1300年事業プレイベントを機に秋田県に初上陸。町内外から約60名の観客が集い、西馬音内盆踊りと和太鼓の共演を楽しみました。
Atoa.からは高橋 勅雄(通称:とっきー)さん、土井 柊弥(通称:しゅうちゃん)さん、高橋 亮(通称:あっきー)さんの3名が出演。グループ名のAtoa.は、”A”を人に見立て「A to a(=人から人へ)」、自分たちの思いが観客の方々に届くようにとの思いが込められています。
筋骨隆々とした見た目とは裏腹になごやかなMCから始まり、一曲目は明るい調子の「嘉村(かむら)」。リズミカルな太鼓に覇気を感じる楽曲です。
演奏が終わると観客から有志を募って、大太鼓を叩いてみることに。羽後町から3名の観客が名乗りをあげ、2本のバチを奮って「ドンッッッ…」と力強い音を響かせました。
二曲目は「獅子舞」。宮城県の小さな街に伝わる獅子頭(ししがしら)を使っためでたい舞踊です。太い掛け声とともに始まった軽やかな太鼓の拍子に合わせて獅子舞が舞います。曲の中盤には観客の邪気を払うべく、客席に入っていって頭を噛んでまわりました。
三曲目は、Atoa.結成当初から披露し続けている「ひぃいずる」。地元の宮城県が東日本大震災に見舞われた当初、Atoa.代表の高橋 勅雄さんは当時所属していた和太鼓集団”鼓童”によるアメリカ合衆国ツアー中でした。ツアー終了後、仙台にて弟の高橋 亮さんとともに「自分たちに何ができるだろう」と話していた時、日の出を目の当たりにして「こういう時までも、こういうあたたかい朝日が昇るんだな」と感動。作曲に至ったといいます。
だんだんと鼓動が早くなっていき、急にシン…と静まり返ったかと思うと、また鳴り出す太鼓。重量のある音の重なりと気迫溢れる3人の表情に、みている側も汗ばむほど。
西馬音内盆踊りとAtoa.の念願の共演
後半は北の盆による西馬音内盆踊りと、Atoa.と北の盆の共演による演目「寄せ太鼓」。鼓童時代に西馬音内盆踊りを習う機会もあったという高橋 勅雄さん。「結成当時は震災後だったため足を運ぶことができず、この機会に一緒にできて幸せな限りです」と共演の喜びをにじませます。
「寄せ太鼓」の演目に入ると、Atoa.メンバーが順番に前に出てコール&レスポンスを求め、観客を巻き込んでいきます。お囃子の演奏と観客の手拍子で一体になった会場。最後には和太鼓の音が響き渡り、曲が終了。アンコールで惜しまれながら集合写真の撮影に移り、「またすぐに、この地に戻りたい」との高橋 勅雄さんの願いとともに、1時間の公演の幕を閉じました。
北の盆の代表、佐藤良友さん(69歳)は「プロの太鼓で、音のパワーがすごかった。公演の段取りもプロフェッショナルだった」と語りました。Atoa.代表の高橋 勅雄さんは西馬音内盆踊りの独特のノリや拍子の取り方に言及し、「楽しくもあり、難しくもあった。感動しました」と今回の共演を振り返りました。
当公演は多賀城創建1300年記念のプレイベント。このほかAtoa.は東北6県を巡り、各地域の芸能と順番に共演していきます。
来年2024年8月にはそれらの芸能が仙台に集合し、再びAtoa.と共演。高橋 勅雄さんは「いろいろな芸能の力をお借りして、今までにみたことのない音楽・芸能の可能性をお見せしたい。特に、東北6県のみなさんに多賀城創建1300年を喜んでもらえるようなイベントにしたい」と意気込みを語ります。炎天下の暑さに負けない、熱い演奏を届けるとのこと。Atoa.の和太鼓と北の盆の西馬音内盆踊りの再演も、引き続き要チェックです。
【問合せ】
羽後町観光物産協会
TEL|0183-55-8635
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記者:UGONEWS編集部(新人地域おこし協力隊|岸峰祐)