【U18野球日本代表のコーチに大抜擢】
羽後高校野球部監督の佐藤さんに聞いてきました!

羽後高校の野球部監督である佐藤悠也さんが、侍ジャパンU18野球日本代表のアシスタントコーチに選出され、8月下旬から約3週間に渡りチームに同行しました。9月2日(月)〜8日(火)にかけて台湾で開催されたアジア選手権では、決勝で惜しくも台湾に敗れたものの、見事準優勝。超一流の首脳陣や選手と共に国際大会を戦い得たものとは…。佐藤さんに聞いてきました!

ドリームチームに同行し刺激的な毎日を過ごす

毎年春に日本高等学校野球連盟の抽選で選ばれた2都道府県から選出される、U18日本代表のアシスタントコーチ。今年は秋田県と埼玉県が選ばれ、佐藤さんは秋田県代表として代表チームに帯同しました。指導者の育成を目的とし、日本高等学校野球連盟が数年前から始めたこの取り組み。佐藤さんには、今年の4月中旬に秋田県高等学校野球連盟から急に連絡があったそうです。「最初はびっくりしたが、こんなに貴重な機会は二度とないと思いすぐに返事をした」と佐藤さんは語ります。

代表選手は夏の甲子園大会の最中、運営委員によって決定されます。今回は全選手が夏の甲子園出場チームから選ばれ、スター軍団が結成されました。

もちろん代表メンバーを率いる首脳陣もとても豪華。監督は、名門の本大学第三高校で指揮をとった小倉全由(おぐらまさよし)さん。コーチにも甲子園常連校の現役監督が名を連ねる錚々(そうそう)たるメンバーでした。

代表のスケジュールは以下の通り。甲子園が終わってすぐ動き出す過密スケジュールでした。

◯8月24日 – 30日   国内での強化合宿
◯8月31日 – 9月1日  台湾へ移動・練習
◯9月2日 – 4日     オープニングラウンド
◯9月5日        大会中日・練習
◯9月6日 – 8日     スーパーラウンド・決勝

試合で佐藤さんにチームから課された役割は、試合中に一塁ランナーに指示を出す1塁コーチャー。練習ではバッティングピッチャーや、相手チーム分析のための動画編集など、裏方を務め上げました。与えられた役割以外にも、自ら小倉監督やコーチに指南を受けに行くなど、選手さながら積極的に知識を吸収しようとした、といいます。

「大型バスでの移動中は基本的に小倉監督の隣に座り、技術面や精神面など指導法について学ぶようにしていました。他のコーチもすごい方ばかりなので、自分の意見を述べてから、それにご意見をいただく形で積極的に話を聞いていきました。指導者によって教え方は様々だと感じましたが、みなさんに共通し選手とのコミュニケーションが卓越していて、とても学びがありました。」

 

アジア選手権の結果と印象に残ったこと

9月2日からのアジア選手権では、決勝まで全6試合を行いました。国際大会では、木製バットを使用しなければならないなど、金属バットの使用が認められてい国内とルールが異なる点がありますが、近年のルール改正によって大きく異なったのは「イニング*数」。日本の高校野球では「9イニング制」が普通ですが、本大会では国際基準に従い「7イニング制」で実施されました。

*両チームが1回ずつ攻撃と守備を行うことを1イニングという

「7イニング制で感じたことは、とにかく短い(笑)。イニング数が少ないことで1点の重みが大きく、先制点を取ることが鍵を握ります。また、一つのミスが命取りとなるので、守り勝つ意識が大切です。」

代表チームは、オープニングラウンドで快進撃を見せます。1回戦の香港戦は19-0、2回戦のスリランカ戦は20-1、3回戦のフィリピン戦は13-0で勝利。全試合大勝で決勝ラウンドへと駒を進めました。

一転して、スーパーラウンドは1点を争う息を呑む試合が続きます。準決勝初戦では今大会の開催国・台湾と激突。予選とは異なり、相手チームにはハイレベルな選手が揃っていましたが、ヒットや相手のミスをきっかけに1点を奪い、見事1-0で勝利。一方の準決勝2戦目では韓国と対戦し常時150キロを超える球を投げる投手陣を前に点を取ることができず、0-1で敗れます。台湾・韓国・日本の3カ国は決勝大会での成績が並んだため、日本代表は決勝に駒を進め、再び台湾と対戦することに。メジャーリーグと契約を結んだ選手など、大型選手を擁す台湾に力及ばず、惜しくも1-6で敗れ準優勝となりました。

印象に残った選手やプレーについて、佐藤さんは次のように語ります。

「スーパーラウンドでの台湾戦、明徳義塾高校の山畑選手のプレーです。165cmと小柄な選手ながら、足が速くて守備がうまい。首脳陣はスーパーラウンドでは1点を守り切るロースコアの試合になると予想していました。山畑選手は初のスタメン起用にも関わらず、自慢の脚力や守備で期待に応える活躍を見せました。身体が大きい選手などが多い中で、自身の役割を全うした山畑選手の姿は、他の選手の参考になると思います。他の選手もとにかく野球センスが抜群で、『これがプロに行く選手か』と思わされる人が何名もいました(笑)。」

貴重な経験から得たものとは

佐藤さんは、約3週間の代表チームへの同行を振り返り、次のように語ります。

「夢のような時間でした。素晴らしい選手や指導者の方々に囲まれて過ごした日々はかけがいのない財産になりました。小倉監督がおっしゃっていた『指導者がいい雰囲気を作ることが大事』という言葉は特に印象に残っています。他のコーチも選手たちとのコミュニケーションに力を入れていたのが印象的でした。今回教えていただいたことをチームで発揮できるように頑張ります。

そして何より、今の環境への感謝の気持ちを改めて感じました。先日行われた増田高校と本校の合同チームで臨んだ秋季野球大会では、ベスト16まで駒を進めることができました。私が不在の間、選手たちを指導してくれた増田高校の監督をはじめ、関係者の方々のおかげであり、感謝の気持ちでいっぱいです。

我々の目標は甲子園出場です。日々の活動を通してより多くの方に高校野球の魅力を感じてもらえるように頑張ります。」

 

………………………………………….

UGONEWS編集部(地域おこし協力隊|土田大和)