ウゴキーマンとは、羽後町を舞台に「動き」のある人と、地域の「キーマン」を組み合わせた言葉です。羽後町で活躍されている方、住んでいる方がどんな人なのか、普段はどんなことをしているのか、どんなことを考えているのか。UGONEWSで深掘りしていくことによって、より多くの方々に、その「人」をお届けします!
今回のキーマンは、羽後町で専業花農家をしている佐藤裕人さん。祖父が創業した花き栽培を見て育ち、独り立ちしてからは園芸メガ団地で栽培をしています。見据えるのは「次世代が一人からでも農業を始められる羽後町」。羽後町でも珍しい専業での花き栽培に取り組む中で感じていることや幸せの形について深掘りしてきました。ぜひ最後までご覧ください!
【氏名】佐藤 裕人(ひろと)
【職業】専業花農家
【出身】羽後町(鵜巣集落)
【趣味】麻雀
一人で向き合う難しさと楽しさ、手に入れた幸せ
裕人さんは羽後町の鵜巣(うのす)集落で生まれ育ち、家族が花栽培をしていたこともあり、花に触れる機会が多い子ども時代を過ごしました。
〈裕人さん〉花の栽培はもともと祖父が創業して、それを父が継ぎ、自分で3代目になります。羽後町では花の専業農家はかなり珍しくて、中でも父親が始めたフリージア栽培では先駆者的な存在でした。
自分自身は中学卒業後に増田高校農業科へ進学し、秋田市雄和にある秋田県の農業研修センターで2年間研修を受けてから就農しました。
裕人さんは現在、独り立ちをし新成地区のメガ団地で栽培をしています。栽培している品種や販路について伺いました。
〈裕人さん〉6〜7年ほど前から園芸メガ団地に移って栽培を始め、現在は1人で栽培できる時間と量を考えながら取り組んでいます。主要な栽培品目はカンパニュラとスターチス、スプレー菊です。ハウス8棟で640坪の面積で周年栽培しています。

カンパニュラは今がちょうど刈り取り時期で、だいたい2月後半から5月中旬までが収穫期です。羽後町の農協では3〜4月の早採りが一つのブランドになっています。
スターチスはその後に収穫が始まり、5月中旬から7月中旬が収穫期になります。1回目の収穫後に2回目の花が咲く「二度切り」栽培が特徴で、一回切りで21本、二度切りで13本程度収穫が可能です。
収穫した花は道の駅うごのほか、農協経由で秋田・仙台など東北地方、東京圏の中央卸売市場や札幌など遠方にも出荷しています。

この春から夏にかけては収穫と出荷が続き、まさに繁忙期。花き栽培の難しさを語ってくれました。
〈裕人さん〉一番はやはり、市場の動向に価格が左右されることですね。需要と供給のバランスによって売値が変わってくるので、常に市場の動向を注視して、収穫の時期を見極めるようにしています。社会情勢の動きも影響してきますから、社会がこう動いたから花の市場はこう動くだろう、と仮説を立てながら動いていますね。
それと栽培についても、実験的な栽培方法を試していて。普通なら出荷できない時期に出荷するなど、柔軟なやり方を模索しています。
ただ、生産側でできることには限界があるので。あくまで赤字にならないように考えつつ、あとは市場に任せるというように割り切っています。

花の栽培にとどまらず、市場や販路など広い視野を持って進めているのが伝わってきました。難しさの一方で、花き栽培の魅力についても伺いました。
〈裕人さん〉一人で自分のペースで栽培できることが、花の栽培の良いところだなと思っています。
自分で時間をやりくりできるので、収入を稼ぐという視点だけでなく自分の生活基準も大切にできますし、おかげさまで余暇の時間を楽しめています。栽培の隙間を縫って友達に会ったりするのが何よりの幸せです。
それと外部からのストレスがないので常に気持ちも安定していますね。市場が暴落したときなんかは焦りますが…。生涯続けていける職業だなと思っています。
あとは外での作業がメインなので、太陽光を浴びながら作業できて健康にも良いですよ。
花を極め、次世代の農業を支える人になる
最後に、これからの展望について語っていただきました。
〈裕人さん〉将来は「花のスペシャリスト」になりたいと思っています。農業は年をとってからが主人公。技術や知識を成熟させていって、ゆくゆくは次の世代にそうした経験値を繋いでいきたいです。そのために社会の動向など、農業以外の分野も勉強していくことが大切だと考えています。

裕人さんからは、今後の農業界への熱い思いが伝わってきました。
〈裕人さん〉次世代が農業を続けていけるシステムを作りたいなと。「一人でも農家ができる」という姿を自分が見せることで、仮に家族が農業をしていなくても、やる気があれば農業を始められるような風土を作っていけると思うので。そのためには支出も含めた、収支の現実的な部分もしっかり教えられるようになっていきたいです。
《取材後記》
知識や経験からくる仮説を持って、勘や思い込みに捉われない堅実な姿勢。かつ、農業界における自身の役割を冷静に分析し、次世代への継承を強く意識している点。裕人さんの取材を通して、これからの新しい農業の形を感じました。羽後町の農業を引っ張っていくリーダーとして、これからも裕人さんの活躍に大注目です!
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UGONEWS編集部(地域おこし協力隊|土田大和・岸峰祐)