【羽後町で、暮らしをたがやす】
羽後町民謡協会で紡ぐ音色|たがやすひと05

先人の時代から今に至るまで、土地を耕し豊かな農産物を育んできた羽後町。その一方で、日々の「食べるもの」を得る以外の時間を活かして豊かな生活を耕している人を、UGONEWSでは「たがやすひと」と呼び、その「好き」を極める姿を紹介しています!

5人目としてお届けする「たがやすひと」は、羽後町民謡協会のみなさん。民謡の世界に魅せられ、一緒に過ごすなかでさまざまな唄を通して旅をする。今年7月に行われた発表会をきっかけに、羽後町で民謡を極める人々の姿を取材しました。

歌で、踊りで。ステージ上から物語を届ける

2026年7月5日(日)、三輪地区の文化交流施設・美里音。羽後町民謡協会による「民謡舞踊発表会」が行われました。羽後町民謡協会に所属するメンバーがステージ上に立ち、さまざまな民謡を披露する発表会です。

今回の発表会では、東北で活動する黒澤会のみなさんが伴奏を担当。三味線や尺八、太鼓などの演奏に合わせて順番に唄を披露していきます。

また、民謡はうたうのみならず。それぞれの曲のストーリーに合わせた着物を身につけ、趣のある踊りも披露されました。

この日の出演者は年代もさまざま。最年少の出演者は6歳でした。世代を超えて民謡がうたい継がれていることを感じさせる機会となりました。

さらに、この日の発表会にはゲストとして、民謡界で活躍する秋田市の大学生・嵯峨泉稀さんが登場。歌唱に加えて、三味線の重奏も披露されました。

 

締めは全員で歌唱

民謡との出会いはそれぞれに

羽後町民謡協会に入った理由はさまざま。昔から民謡に馴染みがあったという人もいれば、知人に誘われて入ってみたという人も。一方で、羽後町民謡協会会長を務める脇屋一男さん曰く、若者の民謡離れも実感しているといいます。

家族や身近な人が民謡をやっていないなど、民謡に触れる機会が少なくなっていることも、その理由の一つ。仮に本人が民謡をやっていても、受験や育児などを境に時間の確保が難しくなり離れざるを得ないといった事情もあるようです。

脇屋一男さんが謡を始めたのは、幼少期の経験がきっかけとのこと。「自分がまだ小さい頃に、おふくろが台所で準備をしながらうたっていた」のを聞いて、いいなと思ったことが原点でした。

あるいは「父親が民謡をやっていたから」という理由で、尺八を奏でることになった方も。なんでも父親が唄を披露できるように、伴奏担当として尺八を演奏するようになったそう。その演奏歴、実に50年。

しかも音の高さごとに長さの異なる尺八を使い分けるそうで、カバンの中には大小さまざまな尺八がズラリ。重ねた年数と使い込まれた尺八が、民謡と向き合ってきた時間を物語っていました。

インタビューの中で見えてきた民謡の特徴の一つが、作業うたや祝いうたといった種類があることです。それぞれの唄が各地域の暮らしやお祝い事と結びついています。そのため、唄の背景を知るのもまた民謡をやる楽しみの一つだといいます。

幼少期から家族の影響で民謡に親しみ、自らもまた、人生を通して民謡に関わり続ける。そうした暮らしと唄との精神的な距離の近さも、民謡ならではの魅力なのかもしれません。

誰かと一緒に極める楽しさを

羽後町民謡協会は毎月一回、公民館で全体練習を行なっています。

尺八・三味線・太鼓の音にあわせ、各自が設定した課題曲を順番に歌っていきます。それぞれがうたい終わると、他のメンバーからコメントが。定期的に開催される地区大会に向けて練習している方もおり、真剣なアドバイスが飛び交います。

こうした練習会に加え、歌詞カードに付属しているCDやテープを聴いての自主練も欠かさないそう。唄の他に、踊りの合同練習も行われました。

ところで、自分がうたう時以外も歌詞カードを見つめるみなさん。実はうたっている途中に合いの手の入る曲もあり、そうした曲では周囲の人が合いの手を担当するのだとか。

すべての唄の合いの手を覚えるのはなんとも難しそうな気がしますが、練習会などで唄を聴いていると自然に覚えるそう。「覚えると楽しくなって、自然と声も大きくなっていく」のだそう。

「ハイハイ」「アーソレソレ」「イヤサカサッサ」快活な合いの手が響きます。

参加していたメンバーの一人は「みんなでやるのが楽しい。一人でやるのはどうかなと思っていたけど、みんなが聴いてくれると思えば楽しい」と語ります。

さらに、民謡は歴史のある曲が多い一方で、新曲も作られています。7月の発表会では、阿部養助さん作詞作曲による唄が披露されました。このように、新しい民謡のあり方を模索する動きも生まれています。

お互いの唄を聴き合う中で、新しい唄を知ったり、別の人が披露した唄を翌年の発表会では自分が披露してみたり。誰かと一緒に音を奏でることの楽しみが、ここ羽後町民謡協会にありました。

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UGONEWS編集部(地域おこし協力隊|岸峰祐)

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